資格スクール・養成講座・認定講師制度を運営する方へ認定講師を育てる前に、
契約で決めておくこと
資格スクールや養成講座の契約書は、受講料と日程を決めれば終わり、ではありません。修了した人に認定講師やインストラクターの肩書を与え、その人が自分の生徒に教える制度では、修了と認定の区別、認定試験と再試験、有効期間と更新、年会費、停止と取消しの手続、名称とロゴの使い方、教えてよい範囲と卒業生の類似講座、教材と生成AI、違約金、協会の会員規約、上位講師の退任と受講生の引継ぎまで、受講が終わった後の約束が何年も続きます。外部講師に講義を頼む契約や、企業から研修を受ける契約にも、それぞれ固有の論点があります。このガイドでは、アトラス行政書士法人がこれまで作成・レビューしてきた受講契約書、認定講師規約、ブランドガイドライン、協会の会員規約、退任合意書、講師業務委託契約書、法人向け講座の規約の実例と、条文の一次確認をもとに、認定制度を立ち上げる方、養成講座を運営する方、外部講師や研修を扱う方が契約書で押さえておきたいことを、テーマごとに詳しく整理しています。
認定講師制度を立ち上げる方

受講契約・認定規程・ガイドラインを分けて作る
修了した人に認定講師の肩書を与える制度では、受講中の約束と、認定後に何年も続く約束を別の書類にします。受講者向けの規約から認定規程とブランドガイドラインへ細目を委ね、どの書類が何を決めるかの優先関係を書きます。
認定規程を本人が署名する使用許諾契約にするなら、署名と同意で成立し、認定の付与から教えてよくなる、と時点を分けて書きます。
養成講座の受講契約を整えたい方

返金は段階で、勧誘は仕事の約束をしないで
開講前の解約まで受講料を全額返さない条項は、平均的な損害を超える部分が無効になり得ます。開始前は手数料を控除して返金し、開始後は提供済みの段階分を控除する、といった段階的な精算にし、受講開始日を定義します。
「認定講師になれば仕事がある」という勧誘は、業務提供誘引販売取引に当たり得ます。勧誘と講師への委託を切り離します。
試験・更新・取消しのルールを作りたい方

修了と認定を分け、認定後の品質を保つ
修了証は認定証ではないと明記し、修了の要件、試験の合格基準、再試験の期限と費用、期限を過ぎた人の救済を書きます。認定後は、有効期間、継続学習による更新、年会費、失効と復帰のルールで品質を保ちます。
取消しは、事由を具体的に列挙し、事前の通知と是正・説明の機会、緊急時の例外と暫定停止を定めておくと、争われにくくなります。
名称・ロゴ・教材を守りたい方

表示のルールと教材の使い方を、相手ごとに決める
ブランドガイドラインは商標登録の前でも作れます。認定講師、未認定の受講者、所属教室、失効した人、契約していない第三者で、許すことと禁じることを分けて書きます。
教材は、権利の帰属と、認定講師が使える条件、生成AIへの入力の禁止と例外、終了後の扱いを決めます。考え方そのものは著作権で守りにくいため、契約で線を引きます。
外部講師に講義を頼む方

依頼ごとの条件と、録画の権利を分けて書く
基本契約に、依頼のたびに示す事項を列挙し、支払期日は給付を受けた日から60日以内に収めます。顧客の都合のキャンセルでは、顧客から回収できなかったことを理由に講師への支払を減らさない形にします。
講義を録画して配信するなら、録画の権利、講義資料の扱い、配信できる範囲と期間、転用の承諾を、講師との契約に書きます。
企業研修・法人向け講座を行う方

法人用の章を作り、費用の負担を分ける
法人向けの講座は、申込みを法人に限り、参加者に規約を守らせる仕組みを申込法人の義務にします。個人向けの条文は、法人に適用する条を列挙する方式で切り分けます。
日程変更、キャンセル料、事業者の都合や不可抗力のときの会場費・旅費の負担、最少催行人数に届かないときの扱いを、事前に決めておきます。
このガイドの解説ページ
よくあるご質問
認定講師を出す養成講座では、受講契約書だけで足りますか?
足りないことが多いです。受講契約は受講が終われば役目を終えますが、認定講師としての活動は何年も続きます。受講者向けの規約に認定規程への委任の条を置き、認定後の要件・更新・指導の範囲・取消しは認定規程で、名称とロゴの使い方はブランドガイドラインで定める構成をお勧めしています。
養成講座の受講料は、途中でやめても返さないと定めてよいですか?
開講前の解約まで全額を返さない条項は、消費者契約法9条1項1号により平均的な損害を超える部分が無効になり得ます。開始前は手数料を控除して返金し、開始後は提供済みの段階分を控除する、といった段階的な精算にすることをお勧めしています。
認定講師の資格を取り消すときに、気をつけることは?
取消しの事由を具体的に列挙し、原則として事実と条項を示して是正・説明の機会を設ける手続を規約に書いておくことです。緊急時の例外や調査中の暫定停止も、要件と期間を決めておきます。
商標登録の前でも、名称やロゴのルールを決められますか?
決められます。ブランドガイドラインは、登録の有無にかかわらず、認定講師や同意した受講者に表示のルールを守らせる文書です。契約していない第三者に対しては、登録前は不正競争防止法、登録後は商標権が主な根拠になります。
外部講師との契約書で、特に決めておくべきことは?
依頼ごとに示す条件(日時・内容・報酬・支払期日・キャンセル)と、講義の録画や講義資料を配信・転用できる範囲です。顧客の都合のキャンセルや講師の直前の辞退のときの扱いも、具体的に書いておきます。
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運営事務所・ご相談のご案内監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日